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2013.09.11

Steve Grossman研究(1975年音源リンク)

Steve Grossman研究その3で触れている新宿ピットインの隠し録り音源が、数年前にYou Tubeにアップされましたのでリンクをまとめておきます。さすがに音質は悪いですが、奇跡のような演奏なので、マニアの方はぜひじっくり。

で、ピットインでこの音源を録音したご本人が、実は現在クアラルンプールで一緒にバンドをやっているWさんという驚愕の事実が!ある意味私の人生を左右するような音源を世の中に流出させた方とご一緒できるとは、まさに奇縁であります。

 

日野元彦グループLive at Shinjuku Pit Inn

29th of November, 1975

日野元彦(ds) Steve Grossman (Ts, Ss)

渡辺香津美(G)岡田勉(B)

 

Groovin' High

http://www.youtube.com/watch?v=SXxaJVNHf6M

Three Cards Molly

http://www.youtube.com/watch?v=SYEFgTVGBC0

Recorda Me

http://www.youtube.com/watch?v=ZziNes6FCtw

Soul Trane

http://www.youtube.com/watch?v=yxIVrEXi26g

Elvin's Tune

http://www.youtube.com/watch?v=pvMfB5dbGyg

Taurus People

http://www.youtube.com/watch?v=pvMfB5dbGyg

Giant Steps

http://www.youtube.com/watch?v=37EeXleBHRY

Some Other Bluse

http://www.youtube.com/watch?v=rSn-yYIICOg

 

ついでに、そもそものグロスマン来日目的である菊池雅章と日野皓正 の双頭バンド、東風(Kochi)の演奏も当時のFMエアチェックからWさんがYou Tubeにアップしています。これはまさに70年代オフィシャルグロスマンスタイル。こちらもどうぞ。

East Wind Part-1

http://www.youtube.com/watch?v=8uPH7Wz2NBQ

East Wind Part2

http://www.youtube.com/watch?v=-XomLLhJJjA

2013.09.09

Steve Grossman研究目次(記事へのリンク)

Steve Grosman研究 -70-80年代のスタイル変遷を検証する―の目次(記事へのリンク)です。

クリスポッター研究目次(記事へのリンク)

「クリスポッター研究」の目次(記事へのリンク)です。

2013.09.08

【ソロナニ】目次(記事へのリンク)

【実践的アドリブ論】私はソロの時何を考えているのか?の記事へのリンクです。

【クリポタ研究】第四回:お勧め音源(お宝音源篇)

さて、ようやく時間ができたので終わらせてしまおう。

クリポタのFace Bookかなにかの紹介見てたら、Down Beat誌が"One of the most studied (and copied) saxophonists on the planet"と紹介してるそうな。そりゃそうだよなあと思うんだけど、日本での知名度のなさはどういうことなんだろうねえ。エリックアレキサンダーのほうがずっと有名みたいだし、なんかねじれてますな。

というわけで、欧米のお宝音源サイトにはクリポタが溢れております。下記に紹介する以外にも、クリニックそのまま録音とかいろいろあるので是非お試しを。

【ソロパフォーマンス:All the things you are】
というわけで、まずは、私が腰を抜かしたソロパフォーマンスから。どこかのクリニックで吹いた”All the things you are”ですな。これは海外のテナー吹きにも相当衝撃を与えているらしい。

まずはYou Tubeで。最後がちょっと切れちゃいます。

http://www.youtube.com/watch?v=ngoE1hreStc&feature=related 

ファイルダウンロードはこちらから。これは最期まで聴ける。

http://urge2burge.wordpress.com/2008/10/05/chris-potter-solo-on-all-the-things-you-are/ 

以前日記で紹介しましたが、この演奏のコピーをして譜面を公開しているという奇特な人がいます。

http://www.neffmusic.com/blog/2010/02/transcription-of-chris-potters-solo-on-all-the-thing-you-are/ 

さらに、今回発見したのですが、この演奏を六カ月掛けて練習して、成果をYou Tubeに投稿したという人がいました(笑)。しかし良く頑張った。いまやクリポタ教の経典だな。
http://www.youtube.com/watch?v=pf6x4KL_9ao&feature=related 

【自己のカルテット】
リーダー作篇で書きましたが、2000年代前半は自らのアコースティックカルテットでガンガンライブをやっていた模様。私は当時ノーマークだったのだが、日本に来たりはしなかったんだろうか。

例えば、2001年のモントリオールのこれ。あ、これ太鼓がクラレンスペンだな。

http://urge2burge.wordpress.com/2007/12/27/chris-potter-quartet-montreal-jazz-festival-01072003/ 

2001年のヨーロッパツアーはBrian Bladeがドラム。”Gratitude”の頃ですな。非常に良いパフォーマンス/録音です。
http://bogardjazz.blogspot.com/2009/01/chris-potter-quartet-live-at.html 

翌年はドラムがビルスチュに変わった模様。”Traveling Mercy”の頃かな。
http://bogardjazz.blogspot.com/2008/12/chris-potter-quartet-live-at.html 

以前日記でも紹介しましたが、上記カルテットからピアノが抜けてトリオでやってる音源があります。2003年のドイツ(多分)。これの一曲目はとにかく凶悪。
http://jazzbootexperiment.blogspot.com/2009/02/chris-potter-trio-jazz-festival-viersen.html 

このころのカルテットは非常に高いレベルで安定してどの演奏も素晴らしいです。ちょっと地味に聴こえてしまうスタジオ盤よりもライブのほうがいいかもしれない。

【Dave Holland Quintet】
このバンドの音源もいろんなところに転がってるな。

比較的初期という意味では2003年のここら辺がお勧めですかね。これの” Claressence”はとにかく強烈です。

http://bogardjazz.blogspot.com/2008/12/dave-holland-quintet-live-at-jazz.html 

ドラムがNate Smithに代わってからは、ここらへんでしょうか。2007年。一時期よりも落ち着いた感じの変態曲勢ぞろい(笑)。

http://urge2burge.wordpress.com/2008/07/07/dave-holland-quintet-wangaratta-jazz-festival-victoria-australia-2112007/ 

Dave Holland関係の副産物であるOvertone Quartetはこれがいいかと。ゴンサロルバルカバが入ったモンタレーカルテットはオフィシャルライブ盤が出てますが、Jason Moranがピアノ(たまにエレピ)弾いてるこっちのほうが好き。

http://bogardjazz.blogspot.com/2009/11/overtone-quartet-feat-dave-holland.html 

【Smalls関係:Live Archives】
まあ、いろいろ紹介してきましたが、要はこれが紹介したかったのですよ。最近話題のNY のライブハウスSmallsのArchives。

http://www.smallsjazzclub.com/index.cfm?itemcategory=30817&personDetailId=143 

ここの画面右側にある日付を選ぶと、それぞれの日の演奏が「1部2部全て」聴けるFlash Playerに飛べます。音もそのままCDになるのではないかって位良いです。是非いろいろお試しを。

といっても沢山ありすぎるので、いくつかお薦めを挙げておきます。基本的にはサイドマンで入っているパターンが多いのだ。それぞれのバンドのオリジナルをやっているわけですが、間にちょっとずつ入るスタンダードがもの凄いことになっています。ニューヨーク最前線。

・February 5,2009 Joe Martin Group
Joe Martinの暗いオリジナルに混ざってAireginとかStardustとかスタンダードもやってます。Aireginのソロは理系アプローチの典型といえるかも。モノ凄いです。残念ながらピアノはブラッドメルドーでは無いですがなんの問題もない。

February 10,2010 Joe Martin Group
これも同様にオリジナルの中にStablematesが混ざってる。多少バラしますと、放し飼いで最近Stablemates、Airegin、Stardust等をやったのはここら辺に影響されちゃったからであります。

February 15,2010 Ari Hoenig Group
これはChris Potterのページからは見つけられないのだ。Kenny Warner(p)入りのAri Hoenigトリオにクリポタが飛び入りした音源と思われ、メンバーにクレジットされてません。7/8のMoment’s Notice、All the things(これも変拍子)、Lonnie’s Lament、Another You 等妙なスタンダードテンコ盛り。Kenny Warnerも好調で、ほんとそのままCD化したらいいんじゃないかと思われます。

【その他】
上記に紹介したサイトで、Undergroundだとか、ハンコックのバンドだとか、更にいろいろ出てくるので是非ご自身で検索してみてください。サイトのトップページの右側にプレイヤー別のインデックスがあったりするので、そこをクリックするとサイドマンで参加しているものも含め簡単に見つかります。あまりに沢山あってクラクラするかもしれませんが。

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というわけで、クリポタ研究はここまで。ああ疲れた。

一番初めに書きましたが、今回いろいろ調べてみて、欧米でのクリポタの評価の高さを再確認しました。それも恐らくはプレイヤーサイド/サックスオタクだけではなく、一般のジャズリスナーからの評価も非常に高くて、完全に「一流」扱い。それに比べると日本では、一部ジャズオタクブロガーおよび一部テナーオタクを除いてほとんど知名度なし・・・まあ、フリークとしてはあまり有名になってもらうのも考え物ですが、もう少し普通に有名になってもらわないと来日してくれなさそうだ。これをお読みの皆様も日ごろからクリポタを会話のネタにしてファンを増やし、是非来日を実現させましょう。クリポタ!クリポタ!

(2011/1/30のMixi投稿より再掲)

【クリポタ研究】第三回:お勧め音源(サイドマン篇)

まずは、サイドマンの活動としての主なモノをリスト化してみましょう。クリポタは人気者なんで、当然いろんな人のサイドに参加してますが、プレイや業界でのプレゼンスへの影響という意味では、下の3つぐらいが重要なんではないかな。この他にあるとすれば、Steve Swallow諸作ぐらいか。

Steely Dan:1994年頃~2000年頃?
ライブパフォーマンスを再開した後の“Alive in America(1995)”あたりから参加かな。”Two Against Nature(2000)”のの決定的名演後、Everything Must Go (2003)”にはクレジットされてるけど、メインはウォルトワイスコフに移行してる模様。

Paul Motian :1994年~現在
Electric Bebop Band名儀で1994年ぐらいから断続的に参加してますね。2000年位からは”Trio 2000”なるユニットで本格的なフリー方面に移行。

Dave Holland:1998年~現在
“Prime Directive(1998)”が初参加みたいだな。その後ずっとクインテットのレギュラーで今も継続中。副産物でOvertone Quartetってのもありますな。

バイオグラフィー的には、1990年代初頭にニューヨークにうつり、レッドロドニー(tp)に見いだされ云々、となってますが、こうやって見ると、1)モダンテナー奏者としてはPaul Motianに見つけてもらって鍛えられ、2) 一方でセッションマンとしてSteely Danに参加。メジャーどころに名前が知られるようになり、3) Dave Hollandバンドへの参加で一皮むけた、って感じなんでしょうか。この人もブレッカーと同じでナンデモ来いの雑食系だと思いますが、Dave Hollandあたりの「無機質変拍子系」みたいなコンセプトと自分のプレイの方向性が合ったんだろう。

というわけで、私の個人的お勧めを数枚。

Steely Dan/ Two Against Nature (2000)
フォト 
前もどこかに書いたけど。私がクリポタを「発見した」アルバム。最後の曲”West of Hollywood” の長尺ソロは、唄モノポップミュージックにおけるサックスソロの歴史に残るな。
なんかで読んだけど、このソロ部分、一旦サックスで試して、イマイチだったのでフェイゲン、ベッカーとしてはギターソロにするつもりだったのだとか。ところが、クリポタがやってきて「2-3日くれ」と言って譜面を持ち帰り、再度レコーディングしたらあのテイクが取れたとか。狙ったわけではないと思うけど、あのコード進行は確かにクリポタ向き、っていうかクリポタぐらいしか吹けないだろう。このアルバムは、初段でやってる
“Gaslighting Abbie”でもクリポタの強力なソロを聴くことができます。

Dave Holland Quintet/Extended Play: Live at Birdland(2001)
フォト 
このバンドのアルバムはどれもいいんだけど、比較的初期のこれが勢いが合っていいかもしれない。放し飼いレパートリーにもなっている”Prime Directive”のライブバージョンが聴けます。
お宝音源篇でも紹介するつもりですが、このバンドのライブ、結構ネットのいろんなところに転がっているので、興味のある人は調べてみてくださいな。凶悪な演奏多し。

公式という意味では、Dave Hollandのサイトから比較的最近のライブパフォーマンスがダウンロードできます。5ドルだから400円くらい。1曲100円。
http://www.daveholland.com/discography/dr2-001d-dave-holland-quintet-archive-series-vol-1-the-dhq-07 

Gil Goldstein/Under Rousseau's Moon(2006)
フォト 
クリポタのプレイというより、バンドとして面白い。とはいえ、クリポタの吹く”Sarah’s Touch”とか、”Liberty City”とか、なかなか聴けませんぜ。放し飼いのLiberty Cityはこれを聴いてやる気になった。今聴きなおしてるけど、ソロ凄いや。ランディも好調。

Joe Martin /Not By Chance (2009)
フォト 
一昨年ジャズヲタクブログ方面で話題になりましたね。同時期に出たThe Monterey Quartetも派手でいいんだけど、私はこちらの方が好き。ちょっと聴くと地味だけど、ブラッドメルドーとの間で青白い火花がバチバチ。曲もまさにクリポタの理系的アプローチにピッタリ。定位等の問題で賛否両論あるようですが、CDの音も好きだな。

Daniel Szabo(P, Key) Trio Meets Chris Potter / Contribution(2009)
フォト 
これもジャズオタクブログ方面で話題沸騰したハンガリーのピアニストの音源。時期的にも、音楽的な内容も上のJoe Martinのやつとの姉妹盤みたいな感じです。非常に暗い真剣な音楽で、私はブレッカー参加のチックコリア名盤”Three Quartets”を思い出しました。
多分、CD発売記念か何かの映像がいくつかありますので一つリンクを張っておきます。これは”Attack of Intervals”という曲で、まさに理系アプローチ発動って感じですな。

Daniel Szabo Trio meets Chris Potter
http://www.youtube.com/watch?v=kuYQtCbrBU4 

というわけで、今日はここまで。次回はお宝音源篇を書きたいと思います。いつになるかな・・・

(2011/1/10のMixi投稿より再掲)

【クリポタ研究】第二回:お勧め音源(リーダー作篇)

<リーダー作篇>
実はクリポタのリーダー作って90年代にConcordから何枚も出てるんだけど、ほとんど持っていないのだ。すみません。一応Verve移籍以降は全部持ってるかな。私的には、クリポタは2000年前後に一皮むけた印象があります。逆に言うと、それ以前の演奏は、前の日記で書いた三つの特徴は見られるんだけど、徹底しきれていない感じ。

グロスマンのリーダー作があまりに適当で今一つ魅力をとらえきれないというのと真逆なんだけど、クリポタのリーダーって工夫がされ過ぎていてインプロヴァイザーとしてのクリポタの恐ろしさが伝え切れていないような気もします。そんななかでのお勧めはこんなところかな。

Lift: Live At The Village Vanguard/Chris Potter Quartet (2002年)
フォト 
Kevin Hayes(P, Key), Scott Colley(B), Bill Stewart(Ds)という凶悪アコースティックジャズメンツを従えてのライブ。冒頭の”7.5”は放し飼いでも何回か演奏しました。路線としてはこの前の”Gratitude(2000年)”とか、Traveling Mercy(2001)の流れを汲む内容かと思います。単純な4ビートというより、変拍子も含む変態アコースティックジャズ。お宝音源篇でも触れますが、2003年ぐらいまではこの編成でガンガンライブやっていた模様。ドラムはBill StewartかBrian Bradeというモダンアコースティックジャズの2大巨匠を使っていたみたい。この時点ですでに業界トップクラスの評価をされていたという証拠でしょう。アコースティックジャズ路線はこのアルバムあたりでイクところまでイッちゃって、次のステージに進んだ感じですね。

多分その当時のカルテットの演奏↓。珍しい。ラバーのマウスピース使ってるし。曲は”Traveling Mercy”の1曲目、”Megalopolis”ですかね。
http://www.youtube.com/watch?v=biY9YHZ-aK4 

Ultrahang/Chris Potter Underground (2009年)
フォト 
その後に結成したのがこのバンド、Underground。初CDは2006年に発表されて、今までライブ盤含め3枚リリースされていますね。Craig Taborn(el-p), Adam Rogers(G), Nate Smith(Ds)というカルテットで、ベースレス変態ジャズファンクを演奏。いわゆる普通の4ビートには飽きちゃったのかも。というわけで、アコースティックジャズを聴く人にはとっつき難いかもしれないですが、基本的にはクリポタが好きなように吹きまくるバンドで、ファンにはたまりません。このアルバムはとにかく”Rumples”のソロが凶悪。”数学アプローチ”満載です。

“Rumples”はこんな曲↓
http://www.youtube.com/watch?v=9eNgBt76qZY 

Song For Anyone/Chris Potter 10(2006年)
フォト 
アコースティックカルテットとアンダーグラウンドの間に発表された異色作。ストリングスと木管アンサンブルの入ったテンテットでクリポタ作曲・アレンジの怪しい曲をたっぷり。アドリブ上達のために作曲をしている、というコメントを知った上で聴くとなかなか味わい深い。日本ではほとんど無視されていますが、昨年のノースシージャズフェスティバルではこのアンサンブルの再現企画というのが行われたらしい。

再現企画の映像見つけた↓
http://www.youtube.com/watch?v=sMde0mnI_i4 

本当は、「サイドマン篇」、と「お宝音源篇」も書こうと思ったのだが、長くなったので分けよう。というわけで、今日はここら辺で。

※クリポタCDのデータについては、マイミク9101さんのHPを参考にさせていただいてます。勝手に使ってすみません>9101さん

皆様もぜひご参照を↓
http://homepage3.nifty.com/kudojazz/chris.html

(2011/1/3のMixi投稿を再掲)

【クリポタ研究】第一回:何が凄いのか?

なんか久しぶりに時間ができたので書きものでもと思って書いてみました。お正月特別企画(笑)。

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リアルタイムで聴いていたこともあり、私にとってジャズサックスの可能性を限界まで追及して前人未到の領域まで到達したプレイヤーと言えば、やはりマイケルブレッカーであった。その前後にいろんなプレイヤーがおり、それぞれ個性的な演奏を披露しているわけだが、やはりトータルで考えるとブレッカーは一枚上手という印象が強い。

そんな硬直化した私の評価に近年割って入ってきたのがおなじみクリスポッターである。いわゆるブレッカー/ロバーノ後のモダンテナー奏者群のの一員ではあるが、最近の演奏を聴いていると、どうも頭一つリード・・・どころかブレッカーに肉薄するような強力な演奏をしているように思われる。

以前、マイミクゴンさんからクリスポッターの教則DVDなるものを入手していたのだが、ようやくゆっくり見ることができた(ゴンさんありがとうございます!)。NYの楽器屋のホールのようなところで一人前に出て模範演奏を行い、質疑応答をする、というノンビリしたセミナーではあるが、その内容・発言もヒントにして、なぜ私がクリスポッターの演奏を凄いと思うのかを解説してみようと思う。

ビデオはまず、コンファメーションのソロの模範演奏から入ります。まあ、普通に気が狂っている(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=-B-2EtfKVlo




さて、これを聴いていただいたうえで、一応分析を。

【特徴1】密度が高く張りのある音
教則ビデオの中でも言っているが、やはり音は重要だろう。最近の人には珍しく、ローバッフルのマウスピースで(多分)上から下までオーバーブロウではないかと思われるほど吹き切る。ある意味非常に男らしい、テナーらしい奏法だと言える。とはいえ、オーバーブロウ直前で精緻にコントロールしている感もある。それなりの音量・音圧で吹き切ることができるので、ダイナミックレンジが非常に大きいのも特徴かもしれない。

【特徴2】正統派バップアーティキュレーション
最近は殆ど吹いていないようだが、この人はもともとアルト吹きだった。DVDでも語っているが、若い頃に「1年位パーカーの真似ばかりやっていた」時期があったとのこと。さらに言えば、その当時(まだ10代半ば)毎週地元のバップバンド(1957年以降のジャズは何の要素も入ってない頑固おやじバンド)のギグに参加していたらしい。というわけで、この人のアーティキュレーションはテナーであっても極めてバップっぽい。タンギングだとか、アクセントだとかはやりすぎ感もあるが、きっとわざと大袈裟にやってるんだろう。張りのある音と相まって、非常に押しの強い印象を受ける。

比較的平坦な八分音符を吹くコルトレーンあるいはブレッカー系のプレイヤーとの差別化ポイントになっていると言ってもいいかも。ちょっと聴くと「ジャズの伝統に根ざした」保守的な演奏に聞こえなくもない。

Musical Back Groundについて喋っているところがちょっとYou Tubeに上がってました。まだジャズまで行きつかない子ども時代の話。
http://www.youtube.com/watch?v=7BbA2RpJX0g




【特徴3】極めて数学的?なフレーズ
上記した通り、音とアーティキュレーションは伝統的、あるいは正統派のテナーを想起させられるのだが、フレーズ(あるいはソロの作り方)は全く伝統から外れているような気がする。

ブレッカーにしてもコルトレーンにしてもパーカーにしても、いわゆるクリシェ的なフレーズがあって、その組み合わせ+アルファでソロを構成しているような印象がある。いわゆる、キメフレーズというヤツだ。

それに比べるとクリスポッターのソロはキメフレーズが少ない、っていうか無い。その場その場で音を選んで、数学的に組み合わせているように聞こえる。当然八分音符一つ一つを選んでいる訳ではなく、4つ単位とかの「モチーフ」の組み合わせというか。以前書いた日記に、適当な4音モチーフを移調したり(半音上昇とか、3度飛ばし、4度飛ばしとか)、瞬間的に順番を替えたり、といった練習を紹介したが、この教則ビデオでも似たような例を喋っている。

例えば、「ドファソミ」みたいなフレーズを例にとって、上記のようにバリエーションを作っていく。ここで重要なのは、頭の中で構造を理解しながら練習することだそうな。例えば、上記の「ドファソミ」だったら、ド~始まって完全五度下がる⇒二度上がる⇒短三度下がる、みたいな構造を理解したうえで、移調してみたり、逆からやってみたり、してInternalize していくのが重要だと言っていた。同じことでも譜面に書いてあるのを読むだけではだめ、みたいなことも言ってたかな。

というわけで、こんな練習を死ぬほど繰り返し、アドリブの際にはそのコードに沿うモチーフを思いつき、さらに、そのモチーフから理論的、感覚的に得られるバリエーションを瞬間的に選んでソロを構成しているのではないかと思う。

一瞬一瞬で思いつくのも相当難しいと思うけど、それを楽器で正確に、表現力のあるアーティキュレーションで再現するのは大変なことですよ。上に書いたような練習を毎日繰り返して、楽器演奏そのものをできるだけ自動化しているからこそ出来ることかなと思う訳です。ついでにいうと、そのモチーフはあまり当たり前じゃ無いもの。具体的には6度とか7度とか、大きなインターバルを含むものを好んでやっているような気がする。ちなみに、一連の練習方法は誰かから教わったものかという質問に対して、ちょっと考えつつも、毎日の練習の中で自然にできてきたもの、すなわち自分で開発したものだ、というような発言もありました。

ビデオでは、練習方法としてモチーフあるいはパターンのバリエーションのことを盛んに繰り返していたが、その中でクラシックの話もちょっと。バルトークの弦楽四重奏を例に出して、非常にシンプルなモチーフを、繰り返したり、移調したり、順番替えたり、テンポ変えたりして素晴らしい音楽にしている、みたいなこと言っていた。試しに聴いてみようかな。

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ついでにいくつか覚えていることをランダムに。
・コピー練習について。曰わく、聴いていて「ミステリアス」な部分だけコピーして、ソロ全体をコピーすることは無いとのこと。おそらくこの人にとってのコピーは、モチーフ収集の手段であり、一旦採集したら上記した練習のように、こねくり回して自分のものにしていくのだろう。
・Voice Reading(聴音)のトレーニングは重要。同じGmでもどの音がどういう構造で鳴っているかを理解したうえで反応することが必要。短音では無くて、和音のReadingの訓練は相当してるみたい。即興演奏に関し、「他の人の演奏を聴く」重要性も盛んに強調していた。
・いわゆるアドリブ論として、和音やスケールというのは一番教えやすい(理解しやすい)部分であり、音楽学校などの教育機関はそれに偏り過ぎている。本当はリズム、タイムなどもっと重要なことがあるはずなのだが、体系立った教育がされていないのが実情。いくつかリズミックjなアプローチのデモンストレーションもやってみせてたけど、あまり細かい説明はなかったかな。
・作曲は好きだし、リズムやハーモニーに関するトライアンドエラーをするという意味で、いいアドリブのトレーニングになる。
・曲を決めて、ソロでアドリブのトレーニングをやっている。その際、いろんな制限をつけて練習する。例えば、フラジオ音域だけとか、低音部だけとか、とにかくシンプルにとか、三連符だけとか、等々。
・サックスは単音楽器であるというのが特徴。要は和音が出せない状況で、いかに調性等の音楽表現をしていくかということに面白さを感じる。一本の線から素晴らしい絵を生みだしていく日本の(?)一筆書きみたいなもの。

全体を通じて言えたのは、作曲にしても聴音にしても、リズムトレーニングにしてもロングトーンにしても、とにかく「即興演奏にどう役立てるか」という観点で捉えて、突き詰めているなあということ。上の方で数学的と書いたけど、単純にフレーズ(音選び)数学的というだけではなくて、音質や、音量、感情表現としてのダイナミクスやフレーズの構成なども、論理的に考え抜いたうえで演奏しているんだろうなあ。参考になります。真似できないけど(笑)

というわけで、まとまりがないがとりあえず今日はここまで。また時間のあるときにお薦め音源でも書いてみたいと思います。
(2011/1/2のMixi投稿を再掲)

【ソロナニ】第19回:クリスポッターのクリニックを聴く

暇なので(毎日これだな)、例のお宝サイトの音源を聴き続けておりますが、今日は、クリポタがトロントの大学でクリニックを行ったテープというのを聴いてみました。リンクはこちら↓。圧縮ファイルを変なサイトからダウンロードして解凍する必要あり。

http://urge2burge.wordpress.com/2009/04/08/chris-potter-humber-college-toronto-932009/ 

(2013/9/8現在上記リンクは既に存在しないようです)

さて、このクリニック、まずは40分に及ぶクリポタの公開インタビューから。ガキの頃何聴いてたとか、人前で演奏を始めたのはいつだとか、スティーリーダンに入った経緯だとか(ミンガスビッグバンドをウォルターベッカーが見に来てスカウトされたらしい)、その後誰とやっただとか、ポールモチアン(モーシャンて発音してた)のバンドの話だとか、それはそれで面白いっす。

で、次に、例によって圧倒のソロパフォーマンス。今回はInvitationですが、完全に気が狂っている(笑)。

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さて、そのあとの質問コーナー(三つめの音源ファイル)が本題。「アイディアをいかに自然に発展させてソロにしていくのか、そのために何をやればいいのか」みたいな質問で、まあ確かにあのソロを聴いたらそういう質問が出てきてもおかしくない。

で、クリポタがいろいろ喋るわけだが、要は「移調(Transpose)」の訓練をするといい。みたいなことを言ってる。もともとクリポタはアルトとテナーとピアノを弾けるらしく、それぞれの楽器をやる時いちいち移調の必要に迫られたとか。

具体的な練習としては、とりあえず適当な「アイディア」を一つ決めてみる。なんでもいいけど例えばと言って吹いたのがこんなの。

【EX1】

Ex1

メジャーコードのアルペジオですな。この譜例では半音ずつ上がってるけど、これを例えば全音、短三度づつ、長三度づつ、みたいに好き放題移調して吹けるようにするそうな。

上の例では五連で面倒なので一音省いてこんな感じ。

【EX2】 これは半音ですな

Ex2

【EX3】 全音で上がる

Ex3_2

【EX4】 長3度で上がる

Ex4

まあ、ここまではよくある練習法ですかね。さらに四度とか増四度とか五度とか、あるいは下がってみるとか、上がったり下がったりするとか、いろいろバリエーションはありそう。

で、面白いなと思ったのは、タダの上方シーケンスじゃつまらないから、ためしに順番を変えてみる、みたいな練習。

【EX5】 EX4の4音パターンの出てくる順番を適当に変えたもの(これは実際に吹いたものじゃなくて私が適当に作ったもの)。こうやってみると、クリポタのソロの中で出てきそうな強力に変なフレーズになっちゃう。

Ex5

【EX6】 4音パターンを変化させて新しいパターンを作る

Ex6

これ、あまり理論的にどうのこうのでなく、ピアノで弾いてみて格好いいからとりあえずやってみよう、みたいな感じの説明に聞こえる。

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さて、この手の練習をするのはいいんだけど、どうやってソロに使っていくかという問題は当然あるわけで、そこら辺はクリポタも自ら問題提起をしつつも回答をはっきりと述べていない(と思う)。本来であれば、いわゆるアベイラブル何とかとか、裏なんとかとか、分析的に行きたいところなんだろうが、私の感想として、理論的なことはあまり考えないでとにかくパターン思いつき→移調練習を積み重ねるのがいいんじゃないかなあと思うわけです。クリポタ自身も(理論は当然知ってるわけだが)、あまり分析的に練習していないような印象を受けました。

つまり、パターン→移調の練習で「耳」と「指」を鍛えておくのではないかと。で、本番では、適当に思いついた練習済みパターンをとりあえず吹いてみて(どのパターンを選ぶかについてはコード見て思いついても、伴奏聴いて思いついてもなんでもよい)、次にその場でそのパターンを適当に移調させたりしてアドリブを発展させていくというか。たとえば、長三度で動いとけば、細かいのはともかくとして、まあ大まかにトーナリティを逸脱することはなさそうだとか、逸脱しても戻ればいいや、とかその程度のアイディアで演奏しているような気がします。

アドリブなんてのは理論的にコードに「あてる」のが目的ではなくて、自分の吹きたい(あるいは聴きたい)ものを吹くのが目的なのだから、こういう機械的な練習を通じて、「ナニが格好良いか」「ナニを吹きたいか」というセンスと再現能力を身につけておくってことですかね。EX6なんてのは、理論的にどうのこうのではなく「試しにちょっと変えてみました」程度で考えてるみたいだけど、実際吹いてみるとなんか格好良いからねえ。

クリポタのソロ聴いていると、この人、この手の練習をまさに朝から晩まで飽きもせず、ひたすらやってるんだろうなあ、って思った次第であります。


(2009/5/5のMixi投稿より再掲)

【ソロナニ】第18回:ジャズは八分音符である(コメントに反応してみる)

前回、前々回の日記に対していろいろご指摘いただきありがとうございます。豪華コメンテーター陣、凶悪だよなあ(笑)。せっかく面白い意見をいろいろ書いていただいたので、日記の数稼ぎという意味においても、コメント欄の反応でなく、日記本体で議論させていただこうかと思い書いてみました。

前の日記「【続き】ジャズは八分音符である」はこちらです。
http://hyagi.cocolog-nifty.com/band/2013/09/2-7055.html

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さて、まずtetsuさんのご指摘

>『八分音符はイーブンでウラにアクセント』

そうなんですよ、イーブンとは書いたが、ウラにアクセントとは(譜面上)明示的に書かなかった。いや、譜面に書いちゃうとちょっと音価が短くなっちゃうイメージかなあと思ったりもしたので(言い訳)。でも正解ですね。サックスタンギング擬音的に言うと「ドゥー・ダー・ドゥー・ダードゥー・ダードゥー・ダー」みたいな感じかな。

>1アタマでビシッと合うから強烈なグルーヴが出る

これも御意。ただし、私も、2ー4で練習する目的を「1拍3拍を正確な位置で演奏するため」と冒頭で記している通り、目的は同じで手段は違うということですかね。メトロノームの音を頼らないで1アタマを合わせる(感じる)というのが主旨です。

今となっては適切ではないかもしれないんですが、やはり20年ぐらい前はモノホン米人vsパチモン日本人論というのが盛んになされておりました。 いわく、ガキの頃からモノホンの4ビート(あるいはJB的律動でもいいや)に親しみ、それができているバンドで揉まれて育つ米人に比べると、日本人はそういう環境にないので、彼らは意識してやっていないこの手の練習を真剣にやる必要がある云々。日本人でも、例えばそこそこできるやつがベイシーバンドに叩き込まれて、一年もツアーで回っていれば、あまり屁理屈を考えることなくあのレイドバックができるようになるんでしょうが、そうでなければ、意識的にその手の環境を作らなくてはいいけないという意味で、2-4あるいはウラウラ練習はまだ必要なのかと思ってます。

デックスやモブレーみたいなノリというのは、1アタマというより、各拍のアタマがきっちり意識されていないとできないんでしょうね。ちなみに、誰もそうは思っていないと思いますが初段のDeacon Bluesのソロは、私としては「ギリギリ遅れない程度のレイドバック」を意識しているつもりであります(8ビートだけど)。これとか→http://jp.youtube.com/watch?v=I4yFJ7hTyIs

やっぱり単純に遅れているように聴こえるか(笑)。
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ゆうやくんのコメントより。
>アクセントを後ろにおいているからはねているように聴こえているだけ

ハネるハネない論は意外な反響がありましたが、やっぱりみんなそう思っているのね。っていうか今やイーブンが当たり前なのか。しかし、皆様のコメントを見てもわかる通り、重要なのはウラよりアタマが如何にしっかりしているか、ということと、タイミングはともかく十分な音価があるか、ということなようです。

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なんと! ぬのさん大巨匠までコメントいただきありがとうございます。

>「ジャズは4分音符である」
>4分音符を長さと切り方を調整するだけでスイングする感じが出せれば、

いや、言い訳がましくなりますが、今回書きながら実は、「八分音符っていいながらこれって四分音符の話じゃん」とか思ってたんですよ。でも、追及していくと「4ビートは四分音符だ!」とか訳の分からないことになりそうなんであえて封印。まあ、サックス吹きにとってはやはり八分音符を如何に格好良く吹くかというのが肝になる部分もありますので。

というわけで、仰っていることは完全同意であります。その意味で、こんな練習もいいかなと。

4bu


上段は当たり前の練習ですね。ベーシストさんなんかはこればっかやってる感じ。下段はやってみると難しいかもしれないですが、これでハネの感覚も調整できるようになるといいですよね。四分音符のスピード、音価はあくまで均等でウラの位置がちょっと変わる。

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くまきちさんのコメント

>「黒人音楽の要素は八分音符にあり」と

というわけで、いままでの議論によれば、スウィングの条件として「1拍目アタマ」「均等な四分音符」あたりがキーワードになりそうですね。ただし、八分音符の重要性は全く変わらないわけですが。

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kumaさん、デックスさん

全音タンギングというのはあまり深く考えないで書いてみましたが、別に私もできているわけではないっす。っていうか、タンギングって練習不足が顕著に表れるので、最近はいかにタンギングなしで誤魔化すかというところに力点を置いた演奏をしてます(笑)。

といいつつ、フレーズ中肝心なところで全音タンギングするのって結構効きますよね。私も高音のフレーズでたまにやります。ジョーロバノなんかそこら辺が上手いよなあ。普段は結構モゴモゴフレーズなんですが。

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というわけで、皆様真摯なコメントをありがとうございました。

改めて思ったんですが、やっぱりリズム隊とフロント(っていうかサックス吹き)の問題意識とか解決法とか結構違うのかなと。いや、本質は同じはずなんですが、どちらかというとサックス吹きはフレーズ論とか音色論、あるいは楽器論(笑)にいってしまって、リズム論を論じる人が少ないような気も。その意味で、私の書いたことなどはリズム隊的には当たり前なのかもしれず、サックス吹き的に足りない議論がいろいろなされているのかなあと思ったりしました。

(2008/11/9 Mixiに投稿した文章を再掲)

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